新しい事をやってみたり、ちょっと難しいかなと思う事にチャレンジするには、エネルギーが必要です。
少しだけ
「エイ」
と、力を入れなければなりません。
そして、なんといってもまず、
「これ、出来るだろうな~」
と、自分の可能性を信じなければ、
「エイ」
って、力を入れる事もできません。
ここで一つエピソードをお話しします。
昔の同僚で、とっても能力があるのに、それを信じないで、いつも
「私はダメ」
と言っている人がいました。
彼女はITに長けている人でした。
しかも、コンピューターをいじってるときはすごく楽しそうでした。
何か問題が起きると、それが解決するまで、何時間も何時間も諦めずにカタカタとキーボートを叩き続けます。
普通の人だったら、とっくに諦めて、投げ出してしまうでしょう。
その上、経験に基づく直感力が冴えていて、全く知らない事でも、
「もしかしたらこうかな?」
と、予想をして解決してしまいます。
私達職場のみんなは、そろいもそろってIT音痴でした。
突然、予想もしない事がコンピューターで起きて絶望的になっている時、いつも彼女が、カタカタって軽やかにキーボードを打って解決してくれました。
その度に私達は救われていました。
私達には彼女が天才に見えました。
でも、そんな彼女の担当は、貿易事務だったんです。
もったいない!!!
貿易事務では彼女の才能があまり生かせません。
せめてデーターベースを作って、船積みのコントロールをするぐらいです。
プログラミングの勉強もしたことがあるというので、周りのみんなが
「ITの仕事をすればいいのに~~」と言うと、
「私なんてぜんぜんダメ。 もっとすごい人は沢山いるから。」
と、いつも答えるのです。
その職場では、ITはアウトソーシングしていましたが、彼女に任せてもいいんじゃないかという話が、上司達の間で話されるようになりました。
そして、ある日、今の仕事と兼任でITを担当して見たいか?と打診されました。
彼女は、
「私なんか、全然力不足で無理です。」
と返事をしました。
やってみたいという気持ちはなかったわけではないと後から語ってくれました。
でも、「私なんてダメ」とその気持ちを無理やり消したそうです。
もちろん、彼女より優秀な人は世の中にたくさんいます。
上を見たらきりがありません。
でも、この職場ではナンバーワンなんですから、いいじゃないですか。
自分の才能を活かす事ができて、充実感を得て、みんなに重宝されて、感謝されて、ハッピーになれる機会が与えられたというのに、それを受け取らないなんて、残念でしょうがありませんでした。
みんな彼女には何度もしつこいぐらい、
「自分のITの能力を活かしなよ」と言ったのですが、答えは同じ。
「私なんてだめだよ。 たいしたことないから」
彼女は、その後ずっと同じ貿易事務の仕事を続けて、あっと言う間に10年がたってしまいました。
最初の頃は、あんなに優秀だといわれていた彼女も、10年後には、文句ばかりを言うお局になってしまいました。
あんなに明るくて、仕事も一生懸命やっていた彼女が
「どうせ私なんか」と自虐的になって、
眠い、だるいと体調の悪さを、しょっちゅう訴えるようになりました。
そして、毎日お酒を飲まないといられなくなりました。
彼女には、幸せに生きるチャンスが用意されていたのに残念です。
自分の可能性を信じる事ができなかったから、幸せへ道を選べなかったのです。
周りのみんなには、彼女が幸せに生きる道が見えていたのに、自分の可能性に目隠しをしていた彼女には、その道は見えていませんでした。
もし、大好きなITの仕事をしていたらどうでしょう。
きっと毎日が楽しく充実していたと思います。
みんなにも感謝されて、褒められて、自信満々になっていたでしょう。
会社を辞めて、自分のIT会社を立ち上げていたかもしれません。
精神からくる体調不調もなかったでしょう。
精神的にも、経済的にも豊かになっていたかもしれません。
でも、彼女は不満だらけで、文句ばっかり言ってる生活を選んでしまいました。
「エイ」って力を入れる事ができなかったから…
自分の可能性は大げさなぐらいに信じてちょうどいいのかもしれませんね。
そうしないと、素晴らしいチャンスを自ら拒否してしまうかも。
ゴンサレス靖子