今年は日本スペイン外交関係樹立150周年だそうだ。
なにそれ? というと、今から約150年前の1868年11月に、「日本スペイン修好通商航海条約」なるものが結ばれ、通商が確立されたんだって。
「へ~、150年前って、つい最近じゃない、日本とスペインの通商関係って、そんなもんなんだ~」と思うのは、歴史のあるヨーロッパに住んでいるせいだろうか。
まあ、それはいいとして、そんなこともあって、「日本スペイン外交関係樹立150周年記念事業」の一環として、今年は日本からいろいろな人が訪れてイベントを行っていた。
私の遠い知人も(という言葉があるかどうか知らないけど)、日本人形の展覧会をやるべくこの記念事業に参加。
都合よくスペインに住んでいる私は、手伝いを頼まれた。
気軽に「いいですよ。」と言ったけれども、「なんで、手伝うなんて言っちゃったんだろう。」って後悔した瞬間がしょっちゅう。
あれをやってくれ、これをやってくれ、あれを問い合わせてれ、これを交渉してくれと、要求がやたらと多い。
少しでも遅れると「まだですか?」とプッシュ。
「なんだこいつ、こっちはボランティアでやってるのに、図々しい。」と思うこともしばしば。
でも、たまに会って話をすると、無垢な笑顔と、裏表のない行動、自分軸の通った情熱、信念なんかを感じて、無条件に「協力してあげたい」と言う気持ちにさせられるのだ。
これは、もうこの人の才能としかいいようがない。
この人は、日本人形を最近相続したとの事。
それで、その人形を展示して多くの人に見てもらえるよう、今年の春に静岡に美術館をオープンしたそうな。
(美術館を作ってしまうのはすごい! 奥さんと経営している。)
今はまだ、右も左もわからず、試行錯誤の最中だと。
今回は、日本文化の良さ世界中の1人でも多くの人に知ってもらいたいという情熱だけで、はるばると日本から、人形を持ってきて、スペインで無料で展示会を行った。
なかなかできることじゃない。
結構な費用がかかって、収益ゼロなんだからどんな帳簿になっているか、考えるのも恐ろしい。
こんなの、ビジネスの世界では全くのNGだ。
遊びじゃないんだから、情熱や信念だけじゃビジネスは成り立たない。
とはいいつつ、私には、このご夫婦、切り盛りしながらも、うまくやっていきそうな気がする。
珍しいほど悪気がなく、情熱と信念で人に協力を求め、損得を考えず、失敗を恐れずどんどん自分のやりたい事をやっていく人達だ。
大物だ。
「なんだこいつ」って思った自分がとってもちっちゃく思えた。
彼は、当日は着物を着て、自ら見学者一人一人に話しかけ、丁寧に心を込めて説明をしていた。
心の底から日本文化の良さを広めたいと思ってるんだな、と感じた。
こういう損得を考えず、情熱で生きていく人もいなくちゃね。
このご夫婦は、人生精一杯生きて、とっても幸せそう。
そして、これからも、ずっと幸せでいるんじゃないかな。
手伝いはとっても大変だったけど、情熱はすべてに勝る!と改めて教えられた出来事だったなあ。
ゴンサレス靖子