メリークリスマス!
ちょっと遅いかな。
でも、スペインはまだクリスマスの真っただ中。
スペインでは、プレゼントを持ってくるのは、サンタさんではありません。
だからプレゼントを受け取るのも12月24日ではないのです。
誰がプレゼントを持ってくるかというと、東方の三賢者という人々。
キリストが生まれてから、ラクダでやってくるから、時間がかかるらしく、1月6日にプレゼントを持ってきます。
面白いですね。
そうやって、スペインのクリスマスは1月6日まで続きます。
そんなクリスマスシーズンの中、今年のイブには、ちょっと珍しい体験をしました。
私の旦那は、多くのスペイン人のようにクリスチャンです。
だから、眠い目をこすりながら、25日の午前0時にキリスト誕生を祝ったミサに参列すべく、旦那に付き合って、近所の教会に行きました。
ただ今年はいつもとちょっと違う。
知人に頼まれて、旦那は友人と一緒に教会の鐘を鳴らすことになっていました。
(教会の鐘は「ミサが始まりますよ」という合図のために30分前から3回に分けて鳴らします。)
神父さんのところへ行くと、「君達3人が今日鐘を鳴らしてくれる人達だね。」と言います。
3人?私もカウントされてる?
まあいいいか。
なかなかこういう機会もないし、と好奇心がうずきました。
そこで案内された場所は…
明かりのない1メートル位の細い螺旋状の階段を上ると、吹きっさらしの塔の最上部に大小中の3つの鐘が並んでました。
工事現場のように、地面には、わけがわからない、棒だの部品だのが転がっています。
そして、ここも真っ暗。
携帯の電気をつけなければなりません。
そして神父さんは、「このトンカチで鐘を叩いて。」と、あの釘を打つトンカチを指すではないですか。
まじ?
「3つ一緒に叩かないでね。ピンポンパンって順番にバランス良くね。 じゃ、お願い。」
そう言って神父さんは去っていきました。
しょうがない、トンカチで鐘を叩きます。
(お寺の鐘を一回り小さくしたものを、鐘の中に入ってトンカチで叩いてる私の姿を想像してみて下さい。)
旦那が、「靖子、音小さいよ。 もっと力強く叩かなきゃ。」と言います。
「おいおい、今21世紀だよ。
トンカチで教会の鐘鳴らす?!
16世紀だって、紐と棒か何かつけて、もうちょっと楽に叩いてたでしょ。」
と思いながらも、今度は体の重みも使って、ジャンプをしながら両手で、思いっきり叩きます。
そうすると、錆なのか、埃なのか、なんなのか知らないけど、叩くたびに、鐘の中からパラパラとゴミが落ちてきます。
位置的に鐘の真下でしか叩けないので、それをすべて浴びてしまいます。
目に入って痛い。
そして、白いコート着てるんですけど。(上の写真のあれ)
あ~、大きな鐘の音で鼓膜が破れそう。
そんな状況を2分間1セット、3回続けます。
そんなこんなして、叩いた鐘は大評判。
そりゃそうだ、この鐘が叩かれたのは今年2度目。
普通の教会なら1日に何回も鳴るのに。
そしてこの鐘は、今年の9月、15年ぶりに鳴らされたのでした。
もともとは、この鐘、ちゃんと機械で動いていました。
前神父さんは、機械が壊れてからは、もう鐘は鳴らしませんでした。
修理するお金もなかったのではないかと思います。
でも新しい神父さんが今年就任して、
「機械が壊れてたって、鐘を鳴らすことはできるよ。」
と言って、工具屋さんでトンカチを買ってきて、それで鐘を思いっきり叩いて鳴らす事にしたらしいのです。
なるほど。
人生に対する意気込みが違うな。
人々に、ミサに来てもらわなければならない。
↓
それには、ミサをやっている事を知らせなければならない。
↓
それには、鐘を鳴らさなければならない。
↓
機械は壊れてる。
↓
修理するお金はない。
↓
修理せずに鳴らす方法はないか。
↓
トンカチで叩けば鳴る。
↓
そしてトンカチなら買える。
これって、ビジネスをやるときも同じだな、って思いました。
ビジネスじゃなくても、人生もそう。
叶えたい望みがある。
↓
そのために何をやったらいいか。
↓
それはどうやったらできるか。
↓
それをやるにはどんなツール、スキルが必要か。
↓
でも、そのツール・スキルがない。–>ここで諦めてはだめ!!
↓
だったら手に入れられる他の道具・スキルでできないか。
↓
とりあえずそれでやってみる。
あれがないからできない、このスキルがないから無理だと、諦めてしまってはもったいない。
既成のやり方ばかりにとらわれてしまってはもったいない。
やろうとしている事は、案外シンプルで、道具やスキルがなくても、とりあえずできるかもしれない。
そんな時に、自分の強みを使う事は大きな武器になる。
な~~んて、そんな事を連想されてくれた、珍しい体験でした。
今度叩く時は、ゴーグル、耳栓、カッパを持って行こう。
ゴンサレス靖子