人生に迷っています、というご相談を良く受けます。
いったいどの方向に進んでいったらいいのか見当がつかない、と。
「私に、いったい何が出来るのか知りたいんです。あれでもない、これでもないと一生懸命考えたのですが、やっぱりよくわかないでのす。」
皆さんそう言います。
確かに、人生に迷った時、「自分には、何ができるだろうか? 」と考えがちです。
でも、そんな時、皮肉にも、自分が得意としている事を見落としてしまいがちなのです。
得意な事は、あまりにも普通にさらっとできてしまうので、「こんな事は誰でもできるだろう」と、価値があるものだということに気づかない事が多いのです。
そして、不思議と、一生懸命努力をして、やっと出来るようになった事が、自分にとって一番価値がある事だと思ってしまいがちなのです。
少しの努力で、大きな成果をあげる事ができるのが、自分の才能であり、得意な事です。
それに気づかないと、少しばかり苦しい人生になってしまいます。
クライアントさんで、会計の仕事をしている方がいました。
会計の勉強をしている時は、楽しかったんだけど、いざ仕事をしてみると、全然充実感がないそうです。
会計の仕事を選んだのは、安定してるし、「手に職」をつけたかったからだそうです。
私から見たら、彼女の才能はまったく別のところにありました。
だから、彼女が会計の仕事をしているのが少し意外でした。
彼女は言いました。
「なんだか幸せを感じないんです。何をやっても、なんだか空虚感があって。今の会計の仕事始めてからなんですけども。でも、会計は、私の強みだと思うんです。」
「会計は、難しい。簡単に出来ることではない。 誰にでも出来ることではない。たくさん勉強をして、出来るようになった私の強み。」
それがクライアントさんが思っていたことでした。
「でも楽しくない。
充実感がない。
頑張ってるけど実際のところあまり優秀でもない。
だからこのままでいいのかなと不安になってきた。」
これが現状でした。
だったら何か違うんじゃないと言うことで、よくよく話を聞いてみると、「ローカル新聞の記者やってる時は楽しかった。すごく充実した気分だった。」と言うではないですか。
私は、「だよね!」とパズルのピースがはまったよ、と思い、高揚しながら聞きました。
「え~~、記者やってたんですか!? 取材なんかもしてたわけですか?」
「もちろん。あれは楽しかったです。小さいところだったから情報集めて、取材して、記事を書いてって何から何までやっていたんですよ」
そうやって、記者時代の事を語っている彼女は、顔が輝きニコニコして、とっても楽しそうでした。
確かに、いかにも彼女の強みが活かせそうな仕事です。
「どうしてやめちゃったんですか?」
「いや~、つぶれちゃったんです。 だから、今度は”手に職”をつけて安定した仕事をしたいと思って、会計を勉強し始めたたんです。記者やってた時は、仕事って言う感じがしなくて趣味みたいな気分でしたね。」
彼女は、記者の仕事は簡単に出来たので、そんな事は誰にでもできると思っていたのです。
彼女にとって会計の仕事は、苦労してやっと得たものです。
だから他の人も苦労してやっとできるものと錯覚してしまいました。
そして、それが、自分の特技だと思ったわけです。
大きな誤解。
それを証明するように、会計の仕事をしていても楽しくないし、充実感がないし、飛び抜けて優秀なわけでもない。
おまけに人生に空虚感を感じるようになってしまいました。
早く手を打たないと。
いろいろ話したあと、クライアントさんは、
「そうか~、記者ってだれにでも出来る訳じゃないんですね。
あんなに簡単にできたから、誰にでもできる事だと思っていました。
記者のような仕事をやっていいんだ、そして、それが他の人にはなかなかできない、自分の強みを活かす仕事なんだ、と思うとなんだか急に元気が出てきました!」
と何かを悟ったかのように言いました。
「自分に何ができるんだろう。」という事に考えが集中すると、こんな誤解も起きます。
人生進む方向に悩んでいるときは、「何ができるんだろう。」より、「何をやりたいんだろう。」と考えた方が、幸せにつながる突破口が見つかります。
とはいえ、「それがわかれば悩まないよ。」と言うのが本音かもしれません。
そんな時は、だれかの力を借りるのが一番。
例えば、私とか。(笑)
冗談はさておき(半分本気)私じゃなくても、一人で悩み苦しまずに、誰かの力を借りてみて下さい。
「な~~んだ、これでいいんじゃない。 だったら私にもできるよ。」という事が、あっという間に見つかるかも。
ゴンサレス靖子