私たちは平均とか標準と言うものに振り回されがちです。
でも平均とか、標準というのは、あてにならないものです。
よくよく考えてみると、平均値のもの、標準値のものそのものは、なかなか存在しないのです。
例えば、40歳~49歳の日本人女性の平均身長は、157.90Cmだそうです。
では、実際に157.90cmの40歳~49歳の女性は日本に何人いるのでしょうか?
ぴったりその身長の人は、そう多くはないのではないでしょうか?
こんな事を思ったのは、最近「平均思考を捨てなさい~出る杭を伸ばす個の科学」(トッド・ ローズ著)という本を読んだからです。
この本の中で印象的だった部分をご紹介します。
1940年代の末、アメリカ空軍はパイロットの操縦ミスに悩まされていました。
なぜ操作ミスが起きるのか、調査をして分析したところ、
「1926年に設計した、平均的な男性パイロットの体型に合わせたコックピットが、いまのパイロットの体型に合っていないのではないか」
という仮説が立ちました。
そこで、アメリカ空軍は新たにパイロットの身体測定をすることにしました。
そして、その時、その測定をしていた研究員が、
「人によって随分数値のばらつきが大きい。どんなに平均値を出したとしても、 平均値に近い人間などいないのではないか?」と感じました。
そこで、その研究員は、対象となるパイロット4,000人の身長、胸周り、腕の長さなどの、10カ所の平均値を出しました。
そして、その平均値から±30パーセント以内の値を持つパイロットの人数を導き出そうとしました。
彼らが設計しようとしているコックピットは、その平均値に近い人がいちばん操作をしやすいわけですから、その対象となる人は何%ぐらいか調べようとしたのです。
研究員の同僚たちは、かなりのパーセンテージの人が、この平均値から±30パーセント以内にすべての測定値が収まると考えていました。
すると、驚いたことに、なんとその結果はゼロでした。
平均値から±30パーセント以内にすべての測定値が収まる人は、いなかったのです。
なぜなら、平均と比べて腕が長く脚が短いパイロットがいるかと思えば、胴回りは小さいのに胸が大きいパイロットがいるなど、ばらつきが大きすぎて、平均値に基づいてコックピットを作ると、誰の体型にも合わないコックピットが出来上がってしまう事になるところだったのです。
と、こんな事が書いてありました。
驚きですよね。
でも納得です。
確かに、人というのは、そんなにバランスがよくできているわけではないのです。
身体だけでなく、考え方だって、行動の仕方だって、それぞれ飛びぬけているとこもあるし、へこんでいるところもあります。
トッドローズの本に書かれている通りに、腕が長く脚が短いパイロットがいるかと思えば、胴回りは小さいのに胸が大きいパイロットがいるように、
アイデアを出すのは得意だけど、実行をするのは苦手という人がいたり、ガンガン行動するのは得意だけど、アイデアを出したり計画を立てるのは苦手という人がいて、人は案外デコボコなものなのです。
だから、平均や標準にとらわれず、もっと自分独自の、個性を活かしながら生きていった方が、うまくいくのです。
何かを達成させようとするときに、平均や標準のやり方でやって、うまくいかなくて、がっかりしている人がいますが、これはただ単に自分の個性を活かした方法でやっていないだけなのです。
自分の個性を活かして生きていくと、苦労せずに物事を達成できるし、楽しく生きていくことができます。