私は「人の才能や能力を見つけ、それを信じることができる」という資質を持っています。
(ストレングスファインダーの[最上志向][ポジティブ][成長促進])
こう言うと、とても前向きで良い資質のように聞こえますが、実はそれが行き過ぎて、あだになったことも少なくありません。
その中でも、特に記憶に残っている出来事があります。
20代の頃の話です。
当時やっていたバンドを解散に追い込んでしまいました。
~ ~ ~ ~
一緒に活動していたドラマーの彼女は、とてもパワフルで才能にあふれた人でした。
仲間内でも観客からも大評判で、私自身も「このバンドは彼女の存在があってこそ成り立っている」「彼女こそがバンドの個性そのものだ」と思っていました。
「もっと彼女の個性を前面に出したい。」
そう考えて、作曲を担当していた私は、ある時、少し変わった曲を作りました。
ドラムが際立つ、レゲエ風のリズムの曲です。
それまでは、いわゆる“超ロック”な曲ばかり演奏していたので、まったく新しい試みでした。
最初は、彼女も乗り気でした。
ところが、練習を始めてすぐに、
「わかんないよ、これ。どうやったらいいか。」
「できないよ!」
と言い始めたのです。
今まで演奏していたロックとはアクセントの位置がまったく違うので、戸惑いがあったのだと思います。
でも私は、彼女の能力を心から信じていました。
だから、「できるよ。大丈夫。もう一回やってみよう」
そう言って、うまくいかなくても、何度も何度も繰り返し一緒に練習しました。
そんなある日、彼女が「バンドを辞めたい」と言い出しました。
理由は、あの曲にうんざりしたから。
「もう、あの曲はやりたくない」と。
その瞬間、私ははっとしました。
彼女が何度も口にしていた「できないよ」という言葉を、私は完全に無視していたのです。
私の頭の中には、「これだけ才能も能力もあるんだから、できないはずがない。」
「だから、やればできる。やってほしい。」という考えしかありませんでした。
確かに、彼女にはできる能力はあったと思います。
でも実はそれは、どうでもいいことだったのです。
本当に大切だったのは、彼女がその曲をやりたいか、やりたくないか。
そんな視点は、私の中にはありませんでした。
結局、その曲はやめることになって、バンドを続ける事になりましたが、「次はどんな曲を持ってこられるんだろう」と、彼女はどこか警戒しているように感じました。
一方、私は、「まずはメンバーに気に入ってもらわなくちゃ。」と思うようになり、作曲そのものが進まなくなっていきました。
そうこうしているうちに、バンドは終わりを迎えました。
これが、私が「人の能力や才能を信じる」という資質を、悪い方向に使ってしまった例です。
どれだけ能力や才能があっても、本人が「やりたくない」と感じているなら、やる理由はありません。
それを「できる、できる!」と押し付けるのは、ナンセンスだったのです。
とても大きな教訓でした。
それでも私は、
「この人には才能がある」
「この人はもっと自分らしいやり方がある」
と感じてしまうことを、やめることはできません。
普段の生活の中で、
「あんなにすごい才能を持っているのに、本人は気づいていない。」
「無理に人の真似をしなくても、その人なりのやり方の方が、きっとうまくいくのに。」
そう思う場面が、たくさんありました。
でも、それを口に出すのは余計なおせっかい。
そう自分に言い聞かせて、ぐっと我慢して黙っていました。
その結果、この資質を、悪い結果を生む形で使うことはなくなりましたが、強みとして活かすところまでは、なかなかたどり着けずにいました。
そんな私に、転機が訪れました。
今のライフコーチという仕事を始めた事です。
「やりたいことはあるけど、できるかどうか不安」と言っている人に対して、「あなたには、これだけの強みがあるんですよ。 やってみましょうよ。」と言うことは大得意。
「何をやりたいかわからない」と言う人に、「あなたには、こんな才能がありますよ。どうですか、やりたい事、思い浮かぶんじゃないですか?」と言うことも大得意。
そして、それは私が言いたくて仕方がない事です。
今では、それを思いきり言うことができます。
もう、楽しくて仕方がありません。
こうして私は、自分の資質を、ようやく強みとして使える場所に出会えました。
心から満足しています。
私たちの強みは、使い方を間違えると人に嫌な思いをさせたり、自分自身を苦しめたりすることがあります。
でも、誰のために、どんなタイミングで、どう使うかを見極め、それが噛み合った瞬間、強みは人生を支える力に変わります。
そんな風に、自分の強みを使っていきたいものです。
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ちなみに、バンドはなくなってしまいましたが、ドラマーの彼女は、その後、私の親友となりました。
今でも、相変わらず、おじさんバンドや若手バンドの話で盛り上がっています。
気づけば、もう45年の付き合い。
こうして仲が続いていることを、心から嬉しく思っています。
ゴンサレス靖子












