30歳のスペイン人男性のクライアントさんの話です。
彼は、誰でも名前を知っている日本の大企業のスペイン法人に勤めています。
ギターを弾いたり、サーフィンをしたり、日本語の勉強をしたりと、多趣味。
金髪に、ベビーブルーの瞳をした美形で、なんとも運が良さそうな風貌をしています。
そんな彼のジレンマは、「今の会社を辞めた方がいいか、続けた方がいいか。」
いろいろ考えすぎて、どうしたらいいかわからなくなってしまったとの事。
彼の話はこんな感じ。
「国際的な企業に就職して、最初は新しい体験ばかりで、生き生きしていたれど、最近は壁にぶつかった気分。
まず会社の中での自分の役目がよくわからない。
だから、将来この会社で成長できるのかどうか、とても疑問になってきた。
でも、いま付き合っている彼女と近々結婚したいし、家も買ったばかりで、ローンがある。
今の会社は、安定しているように見えるし、解雇も少なそう。
でも、この会社は封建的・保守的で、新しい事にチャレンジさせてくれない。
仕事面でとても停滞しているような気がして、フラストレーションが溜まる。
このままここにいては、自分の素質や可能性を潰してしまうような気がする。
もう、どうして良いのかわからなくなった。」
まあ、今の仕事には満足していないのは、明らかです。
このままではいけないと、自分でもわかっていながらも、なんといっても失業率が高いスペインの事なので、今の仕事を手放すのが怖い。
その気持ちはよくわかります。
そこで、こんな対話になりました。
「本当は何をやりたいの?」
「ん〜、わかんない…」
「今の会社、嫌なの?」
「嫌って言う訳じゃないけど….。
でもここにいても僕には、未来がないよ。
僕には、もっと有意義な事が、たくさんできると思う。」
「どんな事?」
「ん〜、まだわからないけど…。」
「じゃあ、会社やめよっか。で、何する?」
「んん〜、もっと自分の能力が活かせるところに転職とか。
でも、なかなか今より条件がいいところってないんだよね。
時間帯も給料も、ここはいいし。
人もいい人ばっかりだし。
転職して、嫌な奴ばっかりだったら嫌だしなあ。」
…堂々巡り、堂々巡り。
「とりあえずは、会社を辞めようかどうしようか、と悩むのは、やめてみようよ。
いくら悩んだって、答えは出ないよ。
時間とエネルギーの無駄。
フラストレーションが、たまるばかり。
だったら、今現在できることをやろうよ。
今やる事が、一生続くわけでじゃないんだよ。
とりあえずは、何かやってみようよ。
さあ、何する?」
「実は、友人がサーフボードワックス作りはじめたんだ。
お前、営業マンの経験を生かして、売る役にならないかって言われてるんだよね。
そんなの大した金にもならないだろうし、そんな内職みたいな事は、どうかなって思って、断ってたんだけど、やってみようかな。
会社辞めなくてもできるし。」
そう!
とりあえずは、やってみればいいんだよ。
嫌だったら、やめればいい。
とりあえずは、それをやってみる。
だめだったら今度は、とりあえず、他の事をやってみる
とりあえずは…
そうやって、とりあえず、いろいろやっていくうちに、「これだ!」っていうものが見つかるはず。
会社勤めを続けながら、友人とサーフボードワックスのビジネスに乗り出した彼は、もう「会社辞めようかどうしようか」と悩まなくなりました。
次の「とりあえず」は、何かな?
楽しみ!
ゴンサレス靖子