今の会社での仕事がイヤだけれど、どうしたらいいかわからないという相談をよく受けます。
この前もその話をしていました。
そこで、「私にもそんな時期があったな~。」と映画を見るように、その時の事がよみがえってきました。
ご参考になるかもしれないので、お話ししますね。
私は、新卒で入った会社の仕事が、とにかくイヤでした。
インテリアメーカーの営業事務です。
げっぞりと痩せましたよ~。
学生時代は、日に焼けて真っ黒だったのですが、会社員になってからは、あまり日に当たる事もなくなったので、すっかり漂白されてしまいました。
友人たちが、「靖子って実は白かったんだね。」と驚いていました。
まず、そんな自由な学生時代と、不自由な会社員生活のギャップに苦しみました。
会社生活で唯一良かったのは、人間関係です。
同僚達や近い先輩達と気が合って、 お昼時間は色々な話をして楽しく過ごしていました。
そんな仲間達と一緒に行く社員旅行も楽しかったです。
ただ仕事内容が、とても嫌でした。
クレームの窓口でもあったので、理不尽なお客さんがたくさんいて、その度に怒ったり泣いたりしていました。
先輩達の仕事ぶりを見てみると、今自分がやっている仕事を、ちょっとうまくやっているだけに感じました。
「10年も20年も同じ事をやり続けなきゃならないのか。 ここにいては私の将来はないな。」と思いました。
ただ、今の自分のままで、他の会社に転職しても、似たような境遇になる可能性は大きと感じました。
バージョンアップした自分になり、特別なスキルを身につけて、それを使って仕事をするしかないと考えました。
そうやって、はじめたのがスペイン語。
元 から、 語学の勉強は好きだったし、海外の生活に興味がありました。
なんで英語じゃなくて、スペイン語なの?とよく聞かます。
英語は、もう学生時代に散々勉強したんです。
それでも、結局ラチがあかなくて、全然話せるようになりませんでした。
それに、英語・日本語の優秀なバイリンガルはたくさんいるので、今更そこに飛び込んでも、仕事につながるかどうかは疑問でした。
だったら、たくさんの国で話されているスペイン語にしようと思ったのです。
国の数だけ仕事の数も多いのではないかと。
スペイン語がペラペラになったら、南米との貿易会社か、どこかの国の大使館で働きたいと思っていました。
スペイン語公用語の国の大使館だって20カ所あるわけで。(すべての国が日本に大使館を置いているかは知りませんが)
それは、実用的な理由ですが、感情的な理由もありました。
語学を勉強するというのは、同時にその言葉が話されている文化も学ぶという事。
だから、自分が好きそうな文化を持った国の言語にしようと思ったのです。
その時は夢のまた夢とは思っていましたが、「移住もありえるかも。 心地よく住める国の言葉にしよう。」とも思っていました。
そうやって、会社が終わってから週3回、6時から9時まで(だったかな?)スペイン語教室に通い始めました。
とはいえ、私が就職したのは、バブルの始まりの頃です。
大量の仕事が毎日あり、気が狂いそうに忙しかったです。
ですので通っていたスペイン語教室も、残業で出席できない日がたくさんありました。
初級クラスは、1回でも休むと、もうチンプンカンプン。
出席できない日が多いと、当たり前ですが、いつまでたっても 話せるようになりません。
でも、転職をするためなので、とろとろやっているわけにはいきません。
とにかく早くスペイン語をマスターしたかったので、「語学を習得する一番の近道は、その国に行ってしまうことだ!」と思い、留学を決心しました。
ただ、決心してから実際にスペインに行くまで、1年かかっています。
迷っていたわけではありません。
当時は、まだネットがなかったので情報集めも大変でした。
スペイン大使館、政府観光局、語学学校の留学相談所などなど、実際に情報をくれる機関に出向いて行かなければなりませんでした。
国際電話だって、今のように番号を押せば通話ができるわけではなく(最近はZoom、ライン、メッセンジャーなどがあるので、電話なんてもう古いぐらいですよね)特別な契約をしないとつながらない時代でした。
だから、私が直接現地とやり取りしたのは手紙です。
だから、めちゃくちゃ時間がかかりました。
ただ、そんな準備もとても楽しかったです。
心の中が希望にあふれていたからです。
あんなに仕事が嫌だったのに、「もう会社やめるんだ。でも、今ここでちゃんと資金集めをしておかないと。」と思うと、それほど苦になりませんでした。
せっせと準備をして、1年間があっという間に過ぎて行きました。
スペインへ飛び立つ事ができた日は、「やっと望みが叶った!」と嬉し涙が出ました。
でも、それはゴールではなく、ほんの入り口だったんですけどね。
もし今の仕事が、自分のためにならない、自分を不幸にすると思ったとしたら、我慢して続けない方がいいです。
だからと言って、今すぐやめた方がいいと言っているわけではありません。
感情だけで決めてしまっては、後から後悔することになります。
まずは、これから何をするかということを決めてみてください。
もしかしたら、すぐには見つからないかもしれません。
でもいろいろなドア叩いているうちに、きっとポロっと開くドアがあります。
ドアが開いたら開いたで、今度は欲しい未来を実現させるまで、時間がかかるかもしれません。
でも、ずっと不幸でいるつらさに比べたら、そんなことへっちゃらです。
欲しい未来が見えてきたとき、心の中に希望や情熱が沸き上がってきます。
その希望や情熱が、いつも自分を支えてくれるものです。
もしまだあなたが、それを体験していないなら、体験せずにこの人生を終わりにしないで欲しいと願っています。
ゴンサレス靖子