自分の強みを仕事に活かしたいという人は多いです。
やはり仕事は人生において大きな比重を占めているので、当たり前ですよね。
よく「自分の強みを活かす=得意な仕事」と考えがちですが、そう単純でもありません。
もちろん、強みを活かして、得意で、大好きな仕事ができればベストですが、まだそれが見つからない場合や、まだそれで生活を営めない場合だってあります。
というか、そんな状態にいる人がほとんどです。
ただ、そんな場合でも、嘆く事はありません。
今の生活の中で、強みを活かし、楽しくやって行きつつ、より理想の生活に向かって歩んで行くことだってできます。
何を隠そう私は10年間も、自分があまり得意ではない仕事をやっていました。
それは、経理。
ある日本企業のスペイン法人で働いていた時です。
数学が大の苦手だったので、経理をやっているというと、学生時代の友人達からは「噓でしょ!」と言われました。
しかも、経理としては、なにかと大変な時期でした。
まず、ITの2000年問題がやってきました。
覚えてますか?
2000年になったとたん、すべてのデーターがコンピューターから消えてしまうかもしれないという、あれ。
経理データが全部消えてしまっては、大変です。
大丈夫だと思いつつ、1月1日に、
私:「消えた??」
IT担当:「消えるわけないでしょ! ちゃんと対応してあるんだから。」という会話を交わした事を覚えています。
また、通貨がペセタからユーロに変わりました。
早くから慣れておこうということで、実際の通貨がまだペセタの時期から、経理はユーロで記帳する事になりました。
が、大失敗です。
まだ流通していたペセタまで、外貨扱いで記帳するので、誤差がでたり、つじつまが合わなくなったりで大変でした。
そんな無駄な作業を2年間続けた後、実際の流通通貨がユーロになった時は、フィクション経理から抜け出した感じでホッとしました。
そして、バブルと崩壊を両方経験しました。
経営絶好調で、ゆるゆるだった会計監査が、会社が傾きはじめたらだんだん厳しくなり、最後には、「今から1時間で、これらの書類をそろえて下さい。」とテストまがいな突然の監査が何回も入るようになりました。
結局、最後には本社が合併して、マドリッドのオフィスは閉まりました。
でも、結構楽しく仕事していたんですよ。
だから、10年間続きました。
オフィスが閉鎖しなかったら、ずっと続けていたかもしれません。
というもの、この職場では、それなりに自分の強みを使うことができていたのです。
例えば、新しい事を、喜んで学ぶ事ができるという強み。
今までわからなかった事がわかるようになるプロセスがとっても楽しいのです。
これは、私のような強みを持つ人のエネルギー源です。
だから、数字は苦手でしたが、経理のコンセプトを知るのは、面白かったのです。
世の中をもう一つ、別の角度で見られるようになったような気がして、大満足でした。
目標を決めたら、それに集中して、根気強く達成させるという強みもよく使うことができていました。
経理という仕事は、やることが決まっていて、予想もできない事などが突然入ってくる事はまずありません。
そして、すべの事に、期限が決まっています。
だからとても目標を立てやすいし、何にも妨害されず、集中して一つの仕事に取り組む事ができます。
”邪魔されずに集中できる”というのは私にとって、最上の環境です。
時間のコントロールが非常にしやすく、イライラせずに、平和に仕事をすることができました。
おまけですが、私は何かをやるときに、楽しいか楽しくないかという事を重要視します。
この職場では、同僚がほぼ全員同じぐらいの年齢で、話も合い、一緒に仕事をしていても楽しかったです。
仕事が少ない日は、会社に行っているんだか、遊びにいってるのかわからないような感じでした。
とってもユーモアがある人が何人かいて、大爆笑の毎日でした。
こうやって、一見、苦手に見えた仕事も、楽しくやっていました。
自分の強みは、どうやって使うのが大切。
どんな仕事でも使いようはあります。
ちなみに、”新しい事を、喜んで学ぶ事ができるという強み”はストレングスファインダーの[学習欲]、”目標を決めたら、それに集中して、根気強く達成させるという強み”は[目標志向]、”楽しいか楽しくないかという事を重要視する資質”は[ポジティブ]です。
ゴンサレス靖子